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本日は先日のギタリスト列伝のコーナーでご紹介した偉大なギタリスト「スティーヴィー・レイヴォーン」が最後に残したアルバム、「ファミリースタイル」について書いていきたいと思います。

 

 

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1986年、アルコール中毒などの影響からツアー中に倒れてしまったレイヴォーン。

1989年、約3年にも及ぶリハビリ生活から復帰したレイヴォーンはグラミー賞も獲得したアルバム「In Step」を発表します。

このアルバムはアルコール中毒を克服するための12のステップをコンセプトに作られました。

 

「俺がシラフの状態で作った初めてのアルバムなんだ、いつもの支え無しでスタジオに行くのはそりゃ恐かったよ。」

「もう自分自身から逃げるのはやめた。これまであった恐怖心を信頼に代えて、今は音楽に集中できている。俺は気に入ってるし、他のたくさんの奴らも気に入っているし、楽しんでるよ。」

 

レイヴォーンはこの言葉通り、復帰後「ジェフベック」や「ジョーコッカー」などのアーティストとツアーを行うなど、精力的に活動します。

ファンや観客も惜しみない拍手と歓声を、どん底から這い上がったレイヴォーンに送り、見事な第二の人生のスタートを見せつけました。

 

1990年8月26日、ウィスコンシン州イースト・トロイ市のアルパイン・ヴァレイにあるミュージック・シアターで行われたブルース・フェスティバル。

「エリック・クラプトン」、「バディ・ガイ」、「ロバート・クレイ」、実兄の「ジミー・ヴォーン」といったギタリストと共演したレイヴォーンはここでも一際大きな歓声を受けました。

フェスティバルが終わり、160キロも離れたシカゴのホテルに戻るためバスに向かったレイヴォーン達は、同じホテルに向かうヘリコプターに空席ができたのを知りそれに乗り帰ることにします。

1990年8月27日、まだ日付が変わったばかりの深夜0時過ぎ、4機のヘリコプターが飛び立ちました。

3機は無事に目的地であるシカゴに到着しましたが、1機だけが未到着。

午前5時に行方不明の届け出がなされ、捜索の結果、午前7時に濃霧のためにスキー場の斜面に激突して大破したヘリコプターの残骸が発見されます。

ジェフベックやジャクソンブラウンなどのマネージメントを手がけていたエージェントであるボビーブルックス、エリッククラプトンのボディーガードを務めていたナイジェルブラウン、ツアーマネージャーのコリンスミス、パイロットのジェフブラウン、そしてスティーヴィー・レイヴォーン、乗客全員が亡くなるという悲劇でした。

自身のバンドクルーが乗っていたエリック・クラプトンと、レイヴォーンの兄ジミーが、検視に立ち会うことになります。

70年代、レイヴォーンと同じようにどん底を経験していたクラプトン。

だからこそレイヴォーンの治療を支え続け、復活した姿を誰よりも喜んだのに。

クラプトンと共に弟を支え続けてきた兄ジミー・ヴォーンのショックも量り知れませんでした。

数週間後には兄弟ではじめて作成したアルバム「ファミリー・スタイル」の発売が決定している中、無残な姿になった男を見て、これが自分の弟だと証明する残酷な立場に立たされました。

酒井しのぶさんという方の記事に的確な内容がありましたので、少し引用させていただきたいと思います。

 

スティーヴィー・レイ・ヴォーンにとって、この『ファミリー・スタイル』には大きな意味があった。

彼はずっと兄を追い続けてきていた。
はじめてギターを手にしたのも兄の影響だったし、プロになるためにダラスからオースティンに出てきたのだって、兄を追いかけてのことだった。
常に兄を尊敬し、影響を受けたミュージシャンはという質問に、必ず兄の名を口にしていたスティーヴィー・レイ。
そんな彼がどん底から這いあがり、やっと兄と肩を並べることができたのが、この『ファミリー・スタイル』だったのだ。

その発売を見ることなく、三十五年の生涯を閉じてしまうなんて、あまりにも残酷な運命だ。
あの日、ヘリコプターに空席があることを知らなければ、たったそれだけのことを知らずにいれば、死なずに済んだのに。

 

 

まさしく兄「ジミー・ヴォーン」はスティーヴィーにとって憧れでした。

「同じバンドに二人のリードギタリストはいらない」という理由で一緒にバンドを結成することはなかったヴォーン兄弟。

最初で最後の共演がこのアルバム「ファミリー・スタイル」です。

アルバムに合わせて予定されていたツアーは白紙になり、実現されることは決して叶わなくなってしまいました。

この「ファミリー・スタイル」というアルバムで、レイヴォーンは普段の激しいプレイとは違い、非常にリラックスしているかの様なギターを聴かせてくれています。

二人の重なり合うギターは、まるで仲の良い兄弟の遊びの様です。

尊敬する兄ジミーとの演奏は、7年間のレイヴォーンの活動期間の中で唯一の安らげる瞬間だったのではないでしょうか。

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